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▼「構想」と「完成」のあいだに横たわる、いちばん大きな落とし穴
大きなプロジェクトが、途中で止まってしまう。
これは珍しい話ではありません。規模が膨らめば膨らむほど、想定外の出来事は必ず起こります。
こうした事態そのものを、誰か一人の失敗として断罪するのは簡単ですが、本質はもう少し深いところにあります。
僕自身も過去に、進めていた計画を、一度白紙に戻した経験があります。
環境の変化や、想定を超えるアクシデントが重なり、「このまま進めることが最善ではない」と判断したからです。
その際は、応援していただいた方々一人ひとりに経緯を説明し、時には頭を下げることもありました。
期待に応えられないのであれば、筋を通す。それ以上でも以下でもありません。
ただ、今回の本題はここからです。
▼分担すればうまくいく、とは限らない
「餅は餅屋」という諺があります。
専門分野はその専門家に任せた方がいいという意味ですね。
諺が誕生してからもう何年も経過していますが、この諺は時代の変化にかかわらず今でも本質を突いていると思います。
一見すると合理的です。
それぞれ得意な人が、それぞれの役割を担う。
プロの現場も、基本はこの考え方です。
ただし、ここには見落とされがちな前提条件が2つあります。
それは、「そこにリーダー(決める人)は存在しているか?」と「リーダーが、各分野のことを理解しているかどうかです。
まず、リーダーがいないと、それぞれプライドを持った専門家は基本的にまとまりません。
そうなると「餅は餅屋」の本領が発揮されないので、まずまとめるリーダーが1人必ずおくべきです。
そして、そのリーダーが各専門分野を深いところまできちんと理解していることも大切。
ここを疎かにしていると、専門家は信頼しません。
この状態でプロジェクトを動かそうとすると、ほぼ確実に、意思疎通の精度が落ちます。
「どこが良くて、どこが違うのか」
「何を直せば、どこに近づくのか」
それを具体的に示せないまま進めると、会話は感覚論に寄り、やり取りだけが増え、時間と費用が削られていきます。
そして最悪の場合、かなりの金額を使ったにもかかわらず、何も形に残らない、という結末を迎えます。
▼最後に必要なのは「説得」ではなく「理解」
「餅は餅屋」を完走させるには、
単なる調整役では足りません。
相手の仕事を理解し、
相手の土俵に立ち、
必要であれば「ここが違う」と示せるだけの解像度が必要です。
これは威圧する、という話ではありません。
相手が本気を出さざるを得ない環境をつくれるかどうか、という話です。
その力がないまま、資金と人だけを集めてしまうと、プロジェクトは静かに崩れていきます。
誰も悪者にならないまま、ただ消耗して終わる。
支援を募り、分業で創作を進めるというのは、
実はかなり扱いの難しい手法です。
強い覚悟と、分野横断的な理解がないまま踏み込むと、
取り返しのつかない火傷を負うこともある。
だからこそ、この「餅は餅屋」というやり方には
使い方と、引き際が必要なのだと思っています。
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