2026.11.4
諸江史耶
モロ先生の授業「東京ディズニーランドの新アトラクションが4月15日にオープンする理由」

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://stand.fm/episodes/6aea5ff5a3344482d2ff614e

▼新しいアトラクションは、なぜ4月15日にオープンするのか?

東京ディズニーランドのトゥモローランドに、ディズニー映画『シュガー・ラッシュ』をテーマにした新アトラクション「シュガー・ラッシュ:スウィートレスキュー」が、2027年4月15日にグランドオープンすることが発表されました。

今回、僕が注目したのは、アトラクションの内容だけではありません。

実は、この「4月15日」という開業日の設定にも、テーマパーク運営における重要な考え方が表れているように思います。

4月15日は、春休みの大きな繁忙期が終わり、夏休みという次の繁忙期を迎えるまでの時期です。

つまり、年間を通して多くのお客さんが訪れる夏休みを迎える前に、新しいアトラクションをオープンさせているわけです。

これは、テーマパークの運営を考えるうえで非常に合理的な判断だと思います。

新しい施設やサービスを立ち上げるとき、どうしても開業初日の集客や話題性に注目してしまいがちです。

しかし、本当に重要なのは、開業日にどれだけのお客さんを集められるかではありません。

開業後に実際のお客さんを受け入れながら、運営上の問題を洗い出し、スタッフの習熟度を高め、サービスの精度を上げていくことです。

開業はゴールではありません。

その後に訪れる大きな繁忙期を成功させるための、準備期間の始まりなんです。

▼開業前から、お客さんの期待値を高める仕組み

さらに面白いのが、今回の新アトラクションは、正式オープンよりも前から関連コンテンツを段階的に展開していくことです。

2027年1月12日から、スマートフォンで楽しめるミニゲームやシンデレラ城の環境演出など、新アトラクションの世界観をテーマにしたさまざまな体験やプログラムがスタートします。

つまり、4月15日のグランドオープンまで、約3か月間にわたってお客さんが新しい作品の世界に触れられる機会を用意しているわけです。

これは、単に新アトラクションの宣伝をしているだけではありません。

正式オープンまでの期間そのものを、エンターテインメントとして設計しているんです。

少しずつ情報を公開し、世界観を体験してもらい、期待値を高めていく。

そして、最終的にアトラクションのグランドオープンを迎える。

こうした段階的な展開によって、正式オープンの日には、すでに多くのお客さんが作品やキャラクターに親しみを持っている状態をつくることができます。

PRによって認知を獲得するだけでなく、開業前からお客さんとの接点をつくり、体験価値を提供しているわけです。

もちろん、期待値を高めれば高めるほど、実際に体験したときの満足度も重要になります。

どれだけ話題になっても、実際のサービスが期待に応えられなければ、お客さんの失望につながってしまいます。

だからこそ、期待値を高めることと、サービスの提供体制を整えることは、セットで考えなければいけません。

▼繁忙期を成功させるために、開業日を設計する

今回の東京ディズニーランドの取り組みから、僕たちが学べることは非常に多いと思います。

特に重要なのは、開業日を単なるスタートの日として考えるのではなく、その後の事業運営まで見据えて設計しているという点です。

例えば、夏休みのような大きな繁忙期に合わせて新しい施設をオープンさせれば、最初から多くのお客さんを集められるかもしれません。

しかし、サービスの提供体制が整っていない状態で大量のお客さんを受け入れてしまえば、待ち時間の増加やスタッフの対応不足など、さまざまな問題が発生する可能性があります。

一度、期待を裏切られたお客さんに、もう一度足を運んでもらうことは簡単ではありません。

それならば、比較的落ち着いた時期に開業し、実際の運営を通じて改善を重ね、繁忙期を迎える頃にはサービスの品質を高めておく。

その方が、中長期的に考えれば、事業の成功確率は高まるはずです。

これはテーマパークだけの話ではありません。

音楽教室でも、レンタルスタジオでも、イベント事業でも同じです。

フリージョイでも、新しいイベントを企画するときには、集客することだけを考えるのではなく、当日の運営体制や参加者の満足度まで含めて設計する必要があります。

PRによって人を集めることは大切です。

しかし、それ以上に大切なのは、集まってくれたお客さんに満足してもらい、また参加したいと思ってもらえるサービスを提供することです。

新しいことを始めるときほど、早く多くのお客さんに届けたいと思ってしまいます。

でも、長く愛される事業をつくるためには、あえて集客を急がず、提供体制を整える時間を確保することも必要です。

開業日にどれだけ人を集められるかではなく、開業後にどれだけ多くのお客さんを満足させ続けられるか。

今回の東京ディズニーランドの新アトラクションの開業日から、そんな経営の基本を改めて学ぶことができました。

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