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▼「上手い」だけでは選ばれない
僕は、30代になっても音楽活動を続けられている人には、共通点があると思っています。
それは、「その人ならではのスキルを持っていること」と、「お金の現実と向き合っていること」の2つです。
まず、1つ目のスキルについて。
音楽の世界には、演奏が上手い人がたくさんいます。毎日練習を積み重ね、難しい曲を弾きこなし、素晴らしい技術を身につけている人は珍しくありません。
もちろん、技術を磨くことは大切です。
ただ、技術があることと、お客さんに選ばれることは、必ずしも同じではありません。
お客さんの立場になって考えてみると、単に「ピアノが上手い人の演奏を聴きたい」という理由だけで、わざわざ時間やお金を使って会いに来てくれるとは限らないんですよね。
それよりも、「この人のディズニー音楽が聴きたい」「この人にしかできない演奏を体験したい」と思ってもらえることの方が、活動を続けるうえでは重要です。
つまり、必要なのは単なる技術ではなく、その人の個性として認識され、わざわざ見に行く理由になるようなスキルです。
僕自身、ディズニーソングとクラシック音楽を中心に活動するピアニストとして、何を自分の強みにしていくのかを考え続けています。
演奏技術を磨くことはもちろんですが、それだけでなく、「諸江の演奏だから聴きたい」と思ってもらえる存在になることが大切だと考えています。
どれだけ努力して技術を磨いても、それが誰かに選ばれる理由につながらなければ、仕事として活動を続けるのは難しい。
30代以降も音楽を仕事にしていくためには、自分の技術を磨くだけでなく、自分ならではの価値をつくる視点が必要なのだと思います。
▼夢を追い続けるにもお金がかかる
そして、もう1つ大切なのが、お金の現実と向き合っていることです。
音楽を好きで続けている人ほど、お金の話を後回しにしてしまうことがあります。
「好きなことを仕事にしたい」
「演奏を続けていれば、いつか何とかなる」
「お金のことばかり考えていたら、音楽が楽しくなくなってしまう」
そんな気持ちも、よく分かります。
実際、お金のことを考えるよりも、練習に時間を使いたいと思う日もあるでしょう。
しかし、音楽活動を続けるには、生活費だけでなく、楽器や機材の維持費、練習場所の利用料、移動費、演奏会の開催費など、さまざまなお金が必要になります。
そして、生活を維持するためのお金が足りなくなれば、食事や睡眠を削ったり、健康を損なったりすることにもつながりかねません。
そうなれば、演奏を続けるための身体そのものが維持できなくなってしまいます。
夢を持つこと自体に、大きなお金が必要なわけではありません。
しかし、その夢を実現するための活動を続けることには、お金がかかります。
この2つを混同してはいけないと思うんです。
音楽活動を長く続けたいのであれば、自分はいくら稼ぐ必要があるのか、何にお金を使っているのか、どのような収入源を確保すれば活動を継続できるのかを考えなければいけません。
さらに、どんな状況になったら活動が止まってしまうのか、あらかじめ想定しておくことも大切です。
収入が減ったときにどうするのか。
体調を崩したときにも生活を維持できるのか。
演奏の仕事が減ったとき、ほかに収入を得る手段があるのか。
こうした問題に向き合うことは、音楽への情熱を失うことではありません。
むしろ、大切な音楽活動を簡単には失わないための準備です。
好きなことを長く続けたいからこそ、お金の現実から目を背けてはいけないのだと思います。
▼20代の勢いだけでは乗り越えられない
20代の頃は、体力や勢いで乗り越えられることもたくさんあります。
多少無理なスケジュールを組んでも、睡眠時間を削っても、若さで何とかなる場面があるかもしれません。
目の前の演奏依頼を引き受け、練習を重ね、経験を積んでいく。その繰り返しで活動の幅が広がっていくこともあるでしょう。
しかし、30代になっても同じやり方だけで活動を続けられるとは限りません。
体力には限りがありますし、生活に必要なお金もあります。年齢を重ねるにつれて、仕事や生活に対する責任も増えていきます。
だからこそ、自分ならではのスキルを磨き、それを求めてくれるお客さんを増やすこと。そして、活動を続けるためのお金や健康を管理すること。この2つが重要になってくるのだと思います。
もちろん、30代になったら急に才能が必要になるとか、経営の知識がなければ音楽を続けられないという話ではありません。
ただ、好きなことを続けるためには、好きなこと以外にも目を向けなければいけない、ということです。
僕はピアニストとして演奏活動を続ける一方で、ピアノ講師として生徒さんと向き合い、株式会社フリージョイの経営にも取り組んでいます。
それぞれ違う仕事ではありますが、どれも長く続けていくためには、価値を提供することと、活動を維持する仕組みをつくることの両方が欠かせません。
自分にしかできないことを磨き続ける。そして、それを続けられる環境を自分で整える。
この2つを両立できる人こそ、年齢を重ねても音楽活動を続けていけるのではないでしょうか。
音楽が好きだからこそ、音楽だけを見ていてはいけない。
自分の強みを育てることも、お金と向き合うことも、健康を守ることも、すべては音楽を続けるための活動の一部です。
一時的に頑張るだけではなく、10年後も20年後も音楽を楽しめる自分でいるために、今の自分に何が必要なのかを考えていきたいと思います。
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